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今月読んだ本-2010.07

雨宮処凛 《ロスジェネはこう生きてきた》(2009年,平凡社新書

時代の様相は本当に変わってしまったものだと思う。私たちの世代で「当たり前」とされてきたことの多くは,もはやロスジェネ以降の人たちには通用しない。その最たるものが「勉強していい学校,いい会社に入り,そこで勤め上げる」という,古きよき?日本的雇用を前提とした人生コース,というやつだろう。


作家であり,反貧困闘争のオピニオン・リーダーの一人である雨宮処凛さんが本書で語る自身の生活史は,「こんな社会になってしまった」日本社会の軌跡とみごとにリンクして語られている。これは著者が内向に向かわず,きっかけは新右翼ながら「外に向かって声を上げる」ことを見つけたことが大きいと感じる。
親や教師から「頑張って勉強すれば,いい就職(いい人生)が待っている」と競争に駆り立てられ,大人になってみたらもうそんな時代ではなかった。ロスジェネ世代が直面したこの価値観の崩壊は,かつての第二次世界戦争における,日本帝国主義の敗戦に匹敵する質をもつものなのではないか。著者があとがきで,ロスジェネが失ったものは「生き方の喪失」と書いているのを読み,そんなことを思う。


また,貧困や労働,社会保障をめぐる問題は,この世代だけのものではない。今を生きるすべての世代に関わる問題だと思う。また再び「景気がよく」なっても,私たちがそのことを実感できることはないだろうことは,あの「戦後最長の景気」が,嫌というほど私たちに教えてくれた。「若者はかわいそう」ではすまされないと,そう思う。