今月読んだ本-2008.11

野中柊 《あなたのそばで》(2008年,文春文庫)

すてきな短編ぞろい。登場人物が思わぬ形でつながっている。連作ってこんなふうに展開していくんだなぁ。とくに印象に残ったのは《イノセンス》と《運命のひと》。
長いこと恋愛小説を読まなかったが,登場人物に感情移入して読む,というよりは,どこか冷静に読んだところがある。それだけ年をくったということか(そうだろう)。あるいは,私の気持ちに欠落している何かを埋めたい気持ちが強いのかも。

ロンゴス 《ダフニスとクロエー》(1987年,岩波文庫,松平千秋・訳)

古代ギリシャの牧歌物語。筋立ては予想したより複雑ではなかったが,意外に面白く,ハマった。(映画になったりとかしてないかな?あれば観てみたい。)
大昔は,神様の存在が人々の生活に身近だったのだろう。しかも一神教的な窮屈さを感じない。今度はギリシャ神話を読みたい。

# 宮子あずさ 《看護婦だからできること》(1993年,リヨン社*1

私の職場は,広く括れば「福祉系」の職場。これまで曲がりなりに経験してきた「物を売る」仕事とは違った人との接し方が求められるので,未だに慣れない。当然,失敗ばかりしている。
毎日くじけそうになること続きなのだけど,宮子さんのこの本を読んで,これまでの私の仕事観がマニュアル的なものから全く抜け出せていなかったのだと気づいた。
責任を任されて仕事をすることの意義。それは確かにきついことではあるが,「人間を成長させるのはただ責任だけ,と意気に感じて仕事をする*2」とは,恥ずかしながらこの年まで考えてこなかったと思う。
「弱い人間は,人を励ます側にまわったほうが生きやすい(中略)だから,気持ちが落ち込むときほど,私は看護婦であることに感謝するんです*3」との言葉にも励まされる。


表紙のイラストのタッチ,何か目にした覚えがあるなと思ったら,高野文子さんだった!ディテールが細かい。ナースの控え室ってこんな感じなんだろう。

# 後藤啓子 《すごい!電話術》(2008年,PHPビジネス新書),北原千園実 《電話応対のルールとマナー》(2006年,日本実業出版社)

必要に迫られて。「電話のかけ方」の本を読もうとは思いもしなかったが,言葉のやり取りは奥が深いものだと再認識。

*1:カバーの裏に「1993年2月10日 初版発行/1993年6月18日 12版(ママ)発行」とある。発売当初かなり売れた本だったのだろう。のちに集英社文庫で文庫化されている。

*2:本書213ページ。

*3:同208ページ。