今月読んだ本-2007.08

#今井啓子 《ファッションのチカラ》 (2007年,ちくまプリマー新書 #060)

livedoorニュースでの紹介記事を読んで,興味を覚えた。
著者は,長年にわたりファッション業界に携わってきた方で,本書の前半では,著者による「体験的ファッション史」が語られる。いろんな著名デザイナーが登場するが,彼/彼女たち各人の特徴(デザインの思想というべきか)にも触れていて,面白い。


後半で,著者は,〈エビちゃんブーム〉にみられるような,ファッション業界とメディアが一体となって仕掛ける〈若者中心主義〉,あるいは売る側主導の傾向に警鐘を鳴らしている。
「自己表現」であるべきファッションなのに,着る側が,業界とメディアの仕掛けに,強迫的なまでに自分を合わせていくという倒錯した現状の指摘は興味深い。〈若者中心主義〉が当の若者すらスポイルしかねない傾向をはらんでいるという指摘も鋭い。
このように加熱する一方の,「売る側主導」のファッションに対する解熱剤として,著者はユニバーサル・ファッションを提唱する。年齢や体形,あるいはトレンドといった枠をはずした地点で,「着る側」の立場から,ファッションを再構築しようとする思想,というべきか。


その考え,私も同感するところが多い。
最近は,若い人でなくとも,流行に影響されて,「若い人と同じように見られなければ」という観念にとらわれているような傾向があると感じる。
例えば,40代の人でも20代の格好をしてれば「若い」のだろうか?それは違うと思う。むしろ勘違いな「痛さ」を露呈させている場合が,私の身近でも多々あるように思う。(←ちょっと本題からは外れるかも。でも大きく外してはいないと思うよ)


ふだん関心がない分野でもあり,読んで新鮮に感じた。
デザイナーたちの思想についてもそうなのだが,「衣服を着ること」の奥の深さを思った。