今月読んだ本-2006.05

《戦後日本の思想》 久野収鶴見俊輔藤田省三 共著 (1974年、講談社文庫 [原著は1959年])
数年前に黒崎の古本屋さんで購入したのだが、ずっと〈積ん読〉になっていた。1ヶ月かかって読む。読書のペースが落ちてることを痛感。


もとは1958年に雑誌《中央公論》で連載されたシンポジウム企画というから、50年近く前の議論である。なのに、非常に新鮮に感じた。


一つには、その議論がよく練られたものであるからだろう。久野、鶴見、藤田の3氏が、それぞれのもてるものを出しあい、ぶつけあっている。けっして〈放談〉に流れないのだ。
もう一点。3氏は、敗戦後〜1950年代末までに現れた各階層の運動あるいは言論と、それらを形づくり、動かす思想の特徴・問題点を明らかにしようとしている。この点では、私が初めて知った事柄が大変多かった。


特に興味深かったのは、〈非寛容との闘争〉の観点がない、日本の (自由主義を自称・自任する) 保守主義の特質についての指摘。あるいは〈生活綴り方〉運動や、戦争体験の語られようから、大衆の思想を明らかにしようとする視角などは、驚きをもって読んだ。
いまの地点からすれば古いテーマやタームだと思われる事柄でも、「あれっ?これは今でも当てはまることなんじゃないの?」と感じる指摘に、各所で行き当たった。


文庫版ならではの増補、久野氏と高畠通敏氏との対談《戦後日本の思想動向》は、私の読解を大いに助けた。


…と、ここまで書いて気付いたのだが、高畠氏を含め、この討論に関わった方々の本を、私は今まで読んだことがない。。。戦後に重要な仕事を残してきた方々ばかりだ。この意味でも、久しぶりに課題が見つかった読書だった。


るきさん 高野文子・著 (1993年、筑摩書房)
先日触れた《るきさん》。
マイペースで、ちょっと世間ばなれしたところがある彼女のキャラが好きだ。
もう一人の登場人物、えっちゃんに自分を重ね合わせて読むひとが多いらしいのだが、私の場合は、自分じしんが、るきさんぽいところがあると思うので、そこからの共感で読んだって感じかな。
でも、それでも、私はるきさんがうらやましい。マイペースで自立してて、なおかつフットワークが軽い!私はさまよっているから(w)。


バブルの最中に描かれたマンガなので、当然ケータイもインターネットも作品中に登場しない。バブルの頃って、まだ生活のペースがゆっくりしてたのかなぁ…とまで思わせてしまう。
あるいは、るきさんのような生活は (職種・収入面で) 今では、可能なのかどうか? (彼女じしんが驚異的に仕事が速いということを割り引いても) などとも思ったりした。


またお気に入りのマンガを見つけられた。そんな気がする。