今月読んだ本/2005-05

《9年間、コンビニで見た日本人》 徐明成・著(2005年 朱鳥社・発行/星雲社・発売)



著者は韓国からの留学生として来日し、コンビニでアルバイト2年、店長を6年、オーナーを1年務めてきた。その体験を綴ったのが本書である。コンビニで働く者として、本書を読んで共感するところが多かった。
冒頭から、態度の悪い客に接した時の様子が描写されているのだが、著者が韓国人であったがゆえに浴びせられた差別的な暴言の数々に、怒らずにはいられなかった。最近では私が住んでいるところでも、コンビニや飲食系の店で働く外国人の姿を目にする機会が多くなったが、彼/彼女たちも心ない客からそのような暴言を吐かれているのだろうかと思うと胸が痛む。
自己中心的で粗暴な言動をする客への手厳しい批判も共感を覚える。年齢に関係なくこのような客がいる、というよりは〈自由を満喫して〉子どもたちの手本たりえていない大人や親*1こそが、子ども世代の〈荒れ〉の原因となっているという指摘は、著者の経験から出たものであり正鵠を得ている。
そのような客に対して、著者は毅然とした対応をしていることも、我が身にひきつけて「自分ももっとしっかりせねば」と思い直した。



また、アルバイトで働く日本人学生と韓国人学生の気質の差に触れている箇所も面白い。

  • 「日本の学生たちは書いてあるとおり、あるいは言われたとおりにきちんとやろうとする原則主義だった」「韓国の学生は言われてないこと、要するに原則ではないことでも、大きい無理がないと思ったら自分で判断してやる。」
  • 「日本の学生は些細なことでも必ず聞いてからやる。そうしたほうが日本の学生は失敗が少なく安心だと思う反面、韓国の学生は細かいことをいちいち聞いてからやるとバカ扱いされると思う。」
  • 「日本の学生はあまり不満を言わない。しかし、韓国の学生は「不満をうまく言ったら通るかもしれない、すると思ったよりいい状況になる可能性がある」という「最高の場合」だけを頭に入れている。 (中略) 日本の学生は、「下手に不満を言ってむしろ悪くなるかもしれない。やっぱりヤバイ、もうちょっと様子を見よう」と思って「最悪の場合」だけを頭に入れている。」

このように気質が対照的であり、どちらがよいという問題ではないが、「不満の表明」への考え方の違いにかんしては我々のほうがネガティヴであり、そのことが社会にも反映しているのだろうかと思ったりする。

*1:このような客、あるいは大人や親を、私はひそかに〈オレサマ(俺様)〉と呼んでいるのだが、そんな傾向がどんどんひどくなっていると感じる。この傾向にみんなで歯止めをかけていかなければならないが、〈愛国心〉はその歯止めにはなりえない。なぜならそれこそわが国においてはオレサマ主義の最たるものだから。以上、脱線。