小泉首相の訪朝は〈失敗〉なのか?

昨日、小泉首相朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、金正日総書記と会談を行なった。この結果、朝鮮にいる拉致被害者家族のうち、地村さん・蓮池さんの家族が帰国を果たした。



報道を見ると、「家族会」や拉致議連などからは、小泉首相が曽我さんの家族の「帰国」や、安否不明の拉致被害者に関する新たな情報も引き出せなかったことをもって、「大失敗」「最悪の結果」だとする批判が出ている。確かに、いまだ安否がわからない方の家族にとっては、会談でこの点についての大きな進展が見られなかったことに失望の気持ちを持たれることは、十分理解できる。それは当事者の心情として〈自然〉なものだろう。



しかし、それはそれとして踏まえつつも、だからといって今までの膠着した状態をこのまま続けていても、何にもならないのではないだろうか。今回の会談においても朝鮮側は安否不明者について「白紙の状態で再調査する」との対応を示したとされる。
また、曽我さん家族の再会についても、北京など第三国での再会案が浮上しており、全く何の進展もなかったというわけでもない。
とりわけ曽我さんのお連れ合いであるジェンキンスさんは〈脱走〉したといわれている米軍人でもあり、どうしても日本に来てもらいたいのならば、日本政府は米国に対し彼への免訴措置などを強く要求し、確約させるべきなのだ*1



一方、国内のメディアが「拉致問題での進展なし=訪朝失敗」という報道なのとは対照的に、外電などの報道は今回の訪朝を肯定的・積極的に評価しているようだ。また、6カ国協議の関係各国でも肯定的な評価のようだ。「画期的な前進」(イギリスBBC)。「日朝間の人道問題のいくつかで合意があったことは肯定的に評価できる」(ロシア・ラブロフ外相)。「『平壌宣言』の履行意志を再確認したことを歓迎。日朝国交正常化交渉再開に向けた関係改善の転機となったことを評価する」「金正日国防委員長(総書記)がミサイル発射実験凍結の意思を再確認したことは意味ある成果」(韓国・外交通商省)
いずれも、国内の報道とは全く違った受け止め方だといえる。この〈落差〉について、私たちはよく考えてみるべきではないだろうか。



私は小泉首相が嫌いだが、拉致議連民主党の人々のように、今回の訪朝を〈失敗〉と断じるわけにはいかないし、むしろ「よくやった」と言いたい。〈成功〉かどうかという点では、「半分の成功」(アル・ジャジーラ)というのが、妥当な評価なのかな、とも思う。決して〈失敗〉ではない。

*1:この問題について、増元照明「家族会」事務局次長は「(注=ジェンキンスさんを)そのまま(飛行機に)乗せて帰ってくればいいのに、なぜ平壌ジェンキンスさんの意思を聞いたのか」と発言しているが、被害者家族の心情からでたとはいえ、ジェンキンスさんの意思を無視した発言であり、ひどい発言だ。